大阪市立三津屋小学校×remo(1日目)
2011/10/17(3‐6限)

三津屋小学校5年生 1日目

今回、remoが実施するプログラムは『ご近所映画クラブ』と呼ばれるremoのプログラムを小学校向けにアレンジしたものを実施しました。。
このプログラムの手法は、映像作家で著名なミシェル・ゴンドリーが創りだしたワークショップとして全世界でも有名です。
最初に久保田テツさん、蛇谷さんから自己紹介。

まず、司会の蛇谷さんから、これまで見たことがある映画について質問後、その映画を作る人にはどんな人がいるか聞いていきます。
子どもたちからも、監督、カメラマン、役者など様々な意見が挙がっていきます。
久保田テツさんは、映画のタイトルを取り上げて、様々なジャンルの映画を私達が普段特に意識せずに見ていることを丁寧に説明されていました。

その後、映画の作り方を詳細に説明するために映画「三丁目の夕日」のワンシーンを題材に、カット割りについてみんなに伝えていきます。
カット1つ1つにそれぞれ意味があることを丁寧に伝えていきます。たった20秒の映像なのに製作者の思いが伝わってくる。
それをみんなで作ってみるのが、このワークショップの主旨です。
 

その後は、映画の作り方について説明。
  1. あらすじを考える
  2. セリフを考える
  3. 服装や小道具を考える
  4. 仕事の担当者を考える
  5. タイトルやテロップをつくる
  6. ビデオカメラについて学ぶ
  7. リハーサルをする
一連の流れが多くて、少し子どもたちも不安そう。でも、心配せずに一緒にゆっくりやっていこうと声をかけるremoの二人。
これらの一連の流れを子どもたちが作っていけるように、各グループに分かれて制作スタート。

【話し合いのルール】
  1. 一人の意見にしたがわない。
  2. 恥ずかしがり屋の子の意見もしっかり聞く。
  3. できるだけ全員のアイディアがつまっていること。
  4.  思ったことを口に出す(直感を信じよう みんなで考え、みんなが出演、時間を守ること。

1週間前から、 どんなジャンルの映画を撮りたいかを 子どもたちに学校の先生から聞いてもらい、 すでに各クラス4つの班にわかれています。 子どもたちのアイディアが、その場でどんどん 採用されていく、もしも、学校の中で「戦争」が起きていたら、、 など、刺激的なテーマも出てきました。 テーマの例を提示していきながら、 各班で、テーマを決めていきます。 テーマも魅力的なものを子どもたちが話し合いながら 選び、その後の 休み時間に入る前には、撮影場所を選びます。 普段は入れない体育倉庫や、屋上、理科室など、 学校ならではの場所を舞台にテーマと つながる場所を決めていきます。

その後、各班で

「カメラマン」、「カメラマン補助」、「美術係」、「書記係」、「役者」

の5つの役割に分かれていきます。 カメラマンだけは、映画の中に入れないので、 それ以外の役割がどちらかというと人気。 でも、役割を変えて、カメラマンの人も 交代して少しは映像の中に映ることを できるようにしました。 実際に休み時間の10分休憩にそれぞれが考えいてる場所を見学に行きます。 休み時間終了後は 各班で決まった場所を紹介していきます。

例えば一例を挙げると、、

【テーマ】もしも、さいきょうの力を手に入れたら 【撮影場所】屋上で

【テーマ】卒業した後 10年後、、 【撮影場所】講堂で

【テーマ】もしも、恋をしてしまったら 【撮影場所】図書室で

【テーマ】もし、ゆうれいが見えたら 【撮影場所】階段で

などとても魅力的な場所とテーマを 考えれてくれました。

その後は、 大きな模造紙に子どもたち同士で話し合いながら 「あらすじ」を決めていきます。参考に、「のび太のストーリー」を 大きなあらすじにして例示します。

のび太が困る。→ ドラえもんが道具を出す。 →のび太が助かる。

これらの一連の流れを分かりやすく説明しました。 最強の力を手に入れるためにどんなきっかけが あればよいか悩んでいる班には、 まず、様々なアイディアを出して、 その後、1つ選ぶ方法を伝えてみる。 青春ものでストーリーを作っている班には、 終わりのシーンをイメージしてもらった後に そこに至るまでの流れを考えるよう伝えてみる。 一方で、子どもたちからも様々な自由なアイディアが たくさん出てきます。 図書室での恋愛ものは、 手と手が重なりあった瞬間から はじまるなど、具体的なシーンをイメージしながら あらすじを作っている班も。 その後は、より細かいあらすじ内容を 考えていく時間になりました。 今日は、最初なので2コマだけ。 来週は、カメラの撮影についての レクチャー後、実際に映像を 撮っていく流れまで進めていきます。

大阪市立苅田北小学校×三原美奈子 (1日目)
2011/10/14 (3~6時間目)

 苅田北小学校の4年生2クラスを対象にした授業が始まりました。講師は、パッケージデザイナーの三原美奈子さんです。

 今回の授業のテーマは、お菓子や日用品の空き箱を使って「パッケージイグルー」を作るワークショップです。

  「パッケージイグルー」というのは、お菓子や日用品の空き箱のパッケージを活かして作られたイグルーのことです。三原さんによると、今回作る「イグルー」 のイメージは、雪や氷で作られたイヌイット達の暮らしの知恵から生み出された住居だそうです。イヌイット達の一時的な家として作られるイグルーは、雪や氷 で、その場で作ることができるとのこと。

 今回は、あえて、「パッケージイグルー」という名前は出さず、子どもたちから自由に箱を使って作りたいものを考えて、絵に描いてもらいました。そして、その絵をもとに、三原さんに設計図を提案してもらうという流れになりました。

 子どもたちから出されたアイデアは、様々でした。秘密基地、お城、木、恐竜、家、学校、トンネル・・・等など。

 さて、三原さんは、子どもたちのアイデアから、どんな設計図を思いついたのでしょうか?

 

*** 実際の授業の様子 ***


【実施1時間目】

※実際は、3・4時間目(4年1組)と、5・6時間目(4年2組)の授業の流れや子どもたちの反応に違いがありますが、ここでは、両方のクラスの様子をまとめて書いています。

 朝からどんよりと曇った空とは反対に、とても元気な子どもたちの挨拶で、授業が始まりました。

  まず、三原さんから自己紹介。

三原さんの「デザイナーって知ってる?」の問いかけにうなづく子どもたち。更に、「どんなことする人?」との問いかけに、「イメージする人」との答えが返ってきました。

アイスの箱を手に「こういう箱、どこで売ってる?」と問いかけると、子どもたちからは口ぐちに、「スーパー!」との答え。

 「そうだね。スーパーとかで、売られているよね。」と、箱を見せながら、デザイナーの仕事について説明する三原さん。

 そして、早速、箱を使って作るための、設計図の発表です。

「みんなの絵、とってもカラフルで、色んな絵があって楽しかったです。実際にできるかどうかも考えて、こんな設計図を選びました。」

 そう言って発表されたのは、1組「大きな顔の家」「星形の家」。2組は、「トンネルハウス」「お城の学校」です。自分の絵が選ばれた子は、嬉しそうにしています。

 

*** いよいよ作り始める! ***

 さて、ここからいよいよ作り始め。まずは、イグル―の基礎工事ともいえる箱の補強作業にとりかかります。

 「今から、箱の補強をします。補強というのは、強くすること。上に、たくさん箱を積み上げるので、一番下の箱を強くします。そのために、ダンボールを使います。」と、三原さん。

 子どもたちには、一人一枚のダンボールが配られました。補強の作業の手順は、このような感じです。

 1.箱の底面の大きさの型をとる。

 2.型より少し小さめに切る。(上下2枚)

 3.余ったダンボールを丸めて箱に入れる。

 4.ガムテープで開いている部分をとめる。

         補強完成!

 ダンボールをハサミで切るのが大変だったり、テープを切るのが大変だったりしましたが、そのおかげで、みんなで協力しながら取り組む様子が見られました。大変な作業ですが、子どもたちは、とても集中して取り組みます。

切りにくいけど、あきらめずに取り組みます。

一人でやるより、一緒にやるとやりやすいね!

作業の途中で、三原さんからパッケージにまつわる色んな話がありました。興味深かったのは、次のような話です。

 空き箱を手にした三原さん。子どもたちに尋ねます。「どっちが表だと思う?」子どもたちの「こっち!」の声に、「どうしてそう思う?」と質問すると、こんな答えが返ってきました。

「中に入っているものの絵が描いてあるから。」「その物の名前が大きく書いてあるから。」

「そうだね」と、三原さん。箱には、表と裏があって、表には、商品名や中身が描かれていることが多いことを確認。また、「裏にも大切なことが書いてあるから、見てみてね。」とも語られました。

 また、こんな話も。

コーンフレークの箱を手にした三原さん。あれ?表にも裏にも、商品名と中身が書かれています。

 「こんなふうに、どっちも表にできるものもあります。」でも、よ~く見ると、絵の向きが違います。こっちは縦向き、ひっくり返すと、横向きの絵が現れます。「どうしてかな?」

 少し難しかったのか、子どもたちは、じっと考えこんでしまいました。

  すると、三原さんは「みんな、さっき、スーパーで商品を売ってるって言ってたよね。例えば、会社の人が、“この商品を置いてくださいって”スーパーにお願 いしたとする。その時に、“ああ、うちの棚のサイズでは、この箱は置けません。”って言われてしまったら、困るよね。そんな時に、縦にしても、横にしても 置けるようにしておくと、お店に並べてもらいやすいよね。」

 この説明に、子どもたちは、納得の様子。いつも見ている商品の箱にも、色んな工夫がされていることを学びます。

ここまでで、最初の時間は終了です。

 【実施2時間目】

 さて、いよいよ組み立てです。前の時間に補強した箱を並べて、イグル―の形を作ります。前もって、三原さんがそれぞれのイグル―の形に、床に赤いテープを貼っておいてくれました。

2つのグループに分かれて、赤い線にそって箱を並べます。

隣の箱とぴったりくっつけること。箱の表が外側にくるようにすること。背面のラインをそろえること…なかなか大変な基礎工事。これも、一人ではできません。

 「おれ、テープ切るわ。」「ここ、おさえてて。」「もうちょっとそろえよう…。」声をかけあって、協力しあって進めます。男の子も女の子も、協力し合いながら、とてもいい雰囲気で作業は進みます。

 最初に作った箱は全部並べたけれど、まだまだ補強した箱が必要です。

 「よし、もっと作ろう!」と、いそいそと二度目の補強作業に励む子どもたち。もう、子どもたちも、やることがわかり、自分たちで動き出し、教室は、どんどん活気を帯びていきました。

 箱を集める子。ダンボールをまるめる子。補強をする子。テープを切る子。箱と箱をテープでくっつける子。大人が指示したわけではないのに、自然に分業がされていきます。色んな職人さんがいて、みんなで一つの家を作っている雰囲気。和気あいあいとして、みんなとっても楽しそう。

作業の合間には、三原さんから箱について、こんなお話がありました。

 「牛乳パックは、頑丈なので、補強しなくても大丈夫です。組み立て方は、こうします…。」そういって、牛乳パックの開いた部分を折りたたみ、直方体にする方法を説明。その鮮やかさと、出来上がった箱のきれいさに、「お~、すげ~!」と子どもたちから拍手が起こります。

早速、自分たちもやっていみたい!と、子どもたちのやる気がムクムク。三原さんの説明が終わるやいなや、牛乳パック探し始めます。さっきの話のように作ることができると、とても嬉しそうでした。

 さて、このイグル―の組み立て。単純な作業に見えますが、実は、色々、考えることがいっぱいです。

 例えば、箱を置くときは、どちらが表かを意識しないといけません。(この箱は、どっちが表かな?どの向きにおけばいいかな?)と考えながら組み立てます。

 また、組み立てていくと、小さなすきまができます。「窓にしてもいいし、そこに合う、小さな箱をみつけてもいいです。」と、三原さん。

 箱を、「持つ」「触れる」「選ぶ」「くっつける」という具体的な「作る作業」に加え、「箱の表がどちらか考える」「すきまをいかす」「ラインをそろえる」「入口・出口の形を工夫する」という「デザイン」も同時に行いながら、作っていく過程は、とても興味深いものでした。

 また、実際に手を動かしながら組み立てる過程、そして、箱に触れて重みや手触り、形のおもしろさを味わう過程でイメージやアイデアが生まれ、創作に結びついているように感じられました。

 先生も子どもたちもスタッフも入り乱れて、夢中になって取り組んでいると、あっという間に終了の時間が近づいてきました。

 最後に、三原さんから宿題です。

  「今日は、要量がわかって、夢中で作業しました。次は、グループで、考えて、工夫をしてみてください。例えば、顔を作るグループは、どうやったら顔に見え るかな?箱の組み方で顔に見えるようにするとか、目の部分は白い箱を集めるとか、グループで考えてみてほしい。他にも、窓の形をどうするか、壁の色をどう するか…グループで話し合って、今後の作戦を立ててみてください。」

 子どもたちは、次への期待をふくらませ、教室をあとにしました。


*** ふりかえり *** 

放課後、担任の先生二人と三原さん、スタッフで打ち合わせを行いました。

 先生たちからは、「みんな、やりたくてしかたない。」「こんなこと大好きだ。」という声や、「○○くんが、できたはしから先生を呼んで、喜んでいた。」と、普段とは違う子どもたちの姿を喜ぶ声が聞かれました。

 スタッフからは、「自然な役割分担が出来ていた。」「男女仲がよくて、ペアになって作業を進めていた。」との意見。

 三原さんからは、さらにかっこよくなるには…という視点で、子どもたちに是非考えてほしいことについての話や、オプションとしてどんな工夫ができるか(例:箱の中にクイズが入っている・カレーの箱が何個あるか、数えてもらうなど)という話をしていただきました。


 さて、次に行くときには、どんなふうになっているのでしょうか?

 トンネルハウスのトンネル部分のみ、少し作業しやすいように三原さんの手を加え、一日目は終了しました。

 20日(金)に2回目のワークショップ、そして、最終日(10月25日)は、保護者の方、そして違うクラスの友達に発表をする予定です。

 さて、どんなイグル―になることでしょう。完成が楽しみです。

大阪市立桃陽小学校×北村成美 (1日目)
2011/10/12(3-4時間目)

 

※6年生1・2組。各クラス1時間ずつの授業を実施しました。クラスによって授業の細かい流れや、雰囲気は異なります。今回は、最初に実施した6年1組の様子について報告します。

今日から、桃陽小学校での授業が始まりました。講師は、ダンサーの北村成美さんです。アシスタントは、下村さんと鈴木さん。6年生2クラスを対象にした授業です。全3回の実施で、最終日に発表をする予定です。

この学校の体育館は2階にあります。中間休みになると、担任の先生が挨拶と打ち合わせに来られました。続くように、6年1組の子どもたちが入ってきます。みんな思い思いにおしゃべりしたり、身体を動かしたりしています。

そうしている間にチャイムが鳴りました。いよいよ授業の開始です。

担任の先生から北村さんの紹介。「しげやんです!」の元気な挨拶に拍手!アシスタントの紹介の後、対面して、「よろしくお願いします」と頭を下げて、顔が上がると…もうワークショップのスタートです。

スーハ―、スーハ―。体育館に響くのは、呼吸の音。前に並んだしげやん達ダンサーは、子どもたちを見つめながら、呼吸を繰り返します。

咄嗟に同じように息を合わせて呼吸をする子も現れました。

一方で、何も言わずに突然始まった出来事に、(ん?何が起こってるの?どうしたらいいの?)と、興味深々に見つめる子もいます。他にも、お互いの顔を見合わせる子。しげやんの真似をする子…子どもたちの反応も様々です。それでも、しげやんは黙ったまま、続けます。

呼吸の次は、身体も動き始めます。正座をしたり、四つん這いになたり、立ち上がったり…。

前方の男の子を中心に7~8名の子たちは、しげやんの真似をしています。

一方で、後方の子たちは、しげやんの動きを見つめながらも、身体を動かすことには、躊躇している様子。

10分くらいしたところで、しげやんが、子どもたちを手招きしました。しげやんの周りに集まるみんな。

「何やってた?」、と問いかけるしげやん。

その後、しげやんから語られたのは、「プロ」についての話。

「プロフェッショナルとは、“自分で決めて自分で動くこと”。人に言われて動くことじゃない。私(しげやん)に言われて、動くのでも、先生に言われて動く のでもない。仕事をすれば、自分で決めて自分で動けない人は、稼げない。私はプロのダンサーだから、今回、みんなと、子ども向けの簡単で楽しいダンスでは なく、プロのダンスをしたい。」

しげやんは、そう言うと、近くに座っている子の身体に触れました。それに反応してしげやんと一緒に身体を動かす子どもの姿に、「そう。プロっていうのは、こんなふうに関わりができる。」と、話します。

「やることわかった人?」の問いかけに、みんなの手が挙がりました。

その姿を見て、しげやんから次の指示。「全員の顔が見える所に移動して。」

子どもたちは、静かに円を作りました。

「本当にそれで、みんなの顔が見える?」

人と人が重なっている所を直す子どもたち。

お互いの顔が見える円ができると、また、しげやんの呼吸が始まります。指示はないけれど、今度は、みんな真似をしていきます。

足の指を触ったり、ストレッチをしたり、おしり歩きで進んだり戻ったり。回転をすると、キャーキャーと歓声も響きます。
「今からもうちょっとプロフェッショナルなことをするよ。」
しげやんは、ぐるりと、子どもたちを見渡すと、ずんずんと近づき、一人の子の前で、手を差し出しました。

「え?おれ??」というように、首を前に突き出す子。しげやんも、その動きを真似します。周りの子どもたちは、そのやりとりを見て、にんまり。

その子は、しげやんに差し出された手をにぎり、腰を上げて、円の中心へ。しげやんのリードで、身体を動かし、回ったり、ひっぱったり、ひっぱられたり。言葉をつかわずに、呼吸と呼吸を合わせるように、身体が呼応します。

緊張しながらも、しげやんと子どもと二人のダンスが繰り広げられます。一人が終われば、また次の子どもと。

次は、しげやんが手を差し出すけれど、触れようとすると、手が逃げます。(ほ~ら、つまかえてごらん。)というように、逃げ出す手を追う子ども。そうするうちに、どんどんダイナミックな動きになっていきます。

周りの子どもたちは、微笑みながら、でも、じっとしげやんとクラスメイトの踊りを見つめていました。

じっと見つめる。お互いの動きを見て、さあ、どう出るか?


相手の動きに反応していきます。集中した空気。

息がぴったり。一番上手!との声が聞かれました。

食い入るようにクラスメイトのダンスを見つめます。


今度は、2人としげやんで。


あらかじめ振り付けが決まっているのではない、即興のダンスが繰り広げられます。

数人の子どもと踊った後で、「集まろうか」としげやん。集まった子どもたちに、またしげやんが語ります。

「よう見てくれる人じゃないと、怖いしできひん。」と、「見る」ことの大切さを語るしげやん。
「リコーダーを吹いて、3秒後に音が出たことある?ないやろ。同時やろ。そのことを身体でしてほしい。」と、今回のテーマになるメッセージを伝えるしげやん。

さあ、今度は、みんながやる番です。でも、その前に。よくない例についての見本。

二人組で、相手は身体を動かすのに、もう一人は全然反応しません。こんな姿は、「見ててかわいそうやろ?」の問いかけに、うなずく子どもたち。

「どうぞ、はじめてや!」の合図で、二人組になり、身体を動かし始めます。

手をひっぱりながら、回る。相手の手に触れようとする人、それから逃げる人で追いかけっこ。お互いの動きに反応して、身体が動き、動かされていきます。音楽が響く中、体育館中で、二人の関わりの中から動きが生まれていきました。

今日の最後に、しげやんから語られたこと。
「オーケストラの演奏では、一人ひとり自分らの音を出している。指揮者が何かしてからやるのではない。同時に演奏している。」
「“打てば響く。”つまり、打ったときには、音が出る。返事に3秒かかるとか、あり得ない。」

「動きに対して反応すること」を、「音」に例え、今回ダンスを作っていく上でのイメージを共有したところで、授業は終了。

授業の後で、先生から、「今年の組体操は“ハーモニー”というテーマで取り組みました。“相手の呼吸に合わせて”というしげやんからのメッセージに、通じるものがありました。」との感想をいただきました。

***

授業の中では、こんな場面も。

しげやんが集合をかけたところ、集まっているのだけれど、しげやんからは見えない所に座っている子がいました。

そこで、しげやんが一言。

「人の顔が見えない所に座ると、あなたとは、関わりたくないっていうように見えてしまう。自分ではそういうつもりではなくても、そういうふうに見えてしまうよ。」

表現に向き合うプロだからこそ、気付かないうちに表現してしまっていることの危うさを、厳しさを持って指導されたのでしょう。

身体そのものが表現しているメッセージは、発している本人が思っている以上に大きいものかもしれません。また、意図せざるところで、何かを伝えてしまっているのかもしれない。表現しないことも、また一つの表現であり、周りは、何かを感じとってしまう。

「踊る」という行為以前の、「身体」や「私」について、深い気付きをもたらすしげやんの授業。

言葉による指示が少ないだけに、「指示されて動く」のではなく、「自分で考えて動く」ということが要求されます。それは、「自分の行動に、自分で責任をとっていく」という姿勢にもつながる気がします。

また、「プロ」としての姿勢で子どもたちの前に立つしげやん。そして、「プロ」としての行動を要求される子どもたち。そんなしげやんの姿勢と、プロの気迫が伝わる真剣勝負の授業。

しげやんと、そして自分の身体、友達の身体と向き合う中で、子どもたちは、どんなことを学んでいくのでしょうか。

あと2回の授業が楽しみです。

***

先生との打ち合わせより・・・
授業終了後の昼休み、先生とふりかえりを行いました。
二人の担任の先生からは、こんな感想が聞かれました。

  • 子どもたちは、最初、戸惑っていたが、すごく身体を動かしたわけじゃないのに、しんどかった。でも、楽しかったと言っていた。
  • 考えないと動けない部分のある子どもたち。説明を聞いて、一瞬で理解していくというトレーニングにつながる。
  • プロフェッショナルの話は、キャリア教育として小学校なりに取り組む内容なので、とてもよかった。今回、ダンスの授業ということで、キャリア教育のことをお願いしていたわけではないが、していただけて、有難かった。

更に、しげやん独特の言葉に頼らない授業の進め方について、しげやんからは、次のような話がありました。
「“手をつなぎましょう。”というと、“え、つなぎたくないわ。”等、子どもたちの中にひっかかりを作ってしまう可能性がある。そういうひっかかりを、作りたくない。」
「“真似してください。”といえば、“真似なんかしたくない。”“真似すりゃええねんな。”というように、思ってしまうかもしれない。」
「“これ、やらんでええんやろか?”と、子どもたちが思って、自分でやることが必要。“やめていく子”と“やめない子”の違いはあっていい。」

しげやんの授業の進め方の背景にある様々な思い、そして経験から生み出されたテクニックについて、学ぶことができたふりかえりの時間でした。

 

大阪市立東都島小学校×北村成美 (発表日)
2011/10/2 運動会

発表日。曇り空の心地いい気候の中、いよいよ本番となる運動会が開催されました。コーディネーターの私たちだけでなく、先生方も緊張な面持ちです。低学年のかわいらしいポップなダンス、玉入れが終わり、5年生はソーラン節、6年生は組み立て体そうが次に控えています。全学年のプログラムがある中でも、今回の3.4年生のダンスは、少し特殊で今までにない自分たちのダンスとなります。

静かに入場し、アナウンスが入って、じっとする。みんなの緊張が伝わり、会場も息をのむ。「黄色のリボン、結ぶとかっこいい。」「かわいい。」と会場からヒソヒソ話し声が聞こえます。スタートの音量が小さかったせいか、「sing!sign!sign!」が流れてはじめて、ばらばらと踊ってしまったけど、それでも気をとりなおして真剣な顔。
こどもたちの足の指先から頭の先まで緊張感が通って、一人一人が個となって、それぞれに身体から存在を放ち、さっきまで広かった運動場が狭くみえます。
はじめの見せ所の「エグザエル(通称)」では、会場から拍手があがり、「今年の3.4年、なんかかっこいいな」「自分たちとはちょっと違う、いいなー」「なんかおしゃれ」と、ぐっとみんなのダンスに引き込まれます。「家ではもうちょっとうまくいってたのにー(笑)」「おお、おお」と保護者の笑い声や驚きも。保護者の方たちは、しげやんが学校に来てることは聞いていたけど、具体的にどんなことをしているか、こどもたちから聞かされていなかったので(本当にしげやんとの「約束」を守ってたため)、驚きを隠せません。

たくさん練習したダンスもあっというまに終盤にかかり、エンディングです。しげやんから出た宿題も3年生がしっかりリードして、「ありがとうござました!」と今までにない大きな声を出します。音楽の影響もあるのか、こどもたちは、ダンスを終えた達成感、緊張から開放された気持ちが顔に表れて、心から溢れ出た「ありがとうござました!」が運動場に響きます。その自信ありげな、ほころぶ顔はまるで本当のダンサーのよう。会場みんなで、拍手で盛り上げながら、最後のグループまでみんな大きな声で会場への感謝の気持ちを届けることができました。

これまではしげやんと一緒にたくさん練習して、みんなで揃えたり、それぞれで踊ったりしてきたけれど、こうして運動場で発表することで、会場からの反応を敏感に感じることができました。そして、そのお返しをするかのように大きな声と満面の笑みで感謝の気持ちを表現する。そうやって、こどもたちは、踊ることだけが「ダンス」となるのではなく、会場のレスフォンスを感じることで、初めて大きな意味での「みる」「みられる」を肌で経験できたと思います。
それはアーティストしげやんの「ダンス」の根源的な考え方である「相手の目をしっかりみること」を、こどもたちは「ダンス」を通して経験し、理解を深めることが出来たのではないでしょうか。また、「見てないと思ってるやろうけど、ちゃんと見てるでー!」としげやんの何度も出た「見る」という言葉は、ダンスの場面だけでなく、こどもたちの日常生活の中でふとしたときに行動にもつながることだと思いました。

 

※当日、しげやんは公演のためにこどもたちの発表をみることができなかったのですが、後日、しげやんのために特別にこどもたちの発表が行われたそうです。

 

 

大阪市立東都島小学校×北村成美 (4日目:最終回)
2011/9/29 (5~6時間目)

最後のしげやんとの練習の日。運動場で集合します。お昼休みは体操服であそんでいる子もいれば、北村さんに話しかけてダンスの練習をする子もいます。
チャイムがなって、北村さんたちが三角座りをしてじっとしています。先生の声かけでようやく整列するこどもたち。4分の遅れです。

始めに約束ごととしていくつか確認。手の組み方、目を話さないことなどをこどもたちに伝えます。でも、運動場というのもあって返事が小さい…。「返事というものは相手に伝わるようにするの!」と北村さんが言います。「身体さわってみー!」とみんな自分の身体をべたべたさわってみて、「この身体全部が今、人から見られてると思ってください!」と伝え、運動場全体が、ステージのように緊張感が生まれたところで、早速これまで先生たちといっしょに練習してきたダンスを通してみることに。

以前の課題、移動の際のまごまごしたのがなくなり、一人一人がしっかり地面に足を踏み込んで、手をしっかり組んでダンスしています。みているこっちも息をのむ緊張感。途中、エンディングのところで大きく手を打ったり、曲を聴きながらこどもたちの動きやすいようなタイミングをつくったりと、先生のアイデアも盛り込まれていました。「プロみたい!めっちゃかっこよかった!」と北村さんもびっくりしています。

「今のきもちを忘れずに」ここからもっと格好よくしていこうと、パートごとに何度も練習していきます。太陽の日差しが強い中、こどもたちは繰り返し練習し、それでも弱音を吐きません。身体が疲れてしまった子は途中、休憩しながら、じっとダンスのようすを見ています。「見てても上手に踊れるわけじゃないからね」と、こども扱いは一切しない北村さんに、こどもたちはぐっと集中しています。

5時限目が終わって、休憩時間には集中がとけてくたくたな様子もありましたが、6限目はさらに加速していきます。全体の踊りもひとつひとつ、かっこわるい例、かっこいい例を北村さんがやってみせて、何がかっこよくしているかをこどもたちに何度も問いかけます。

最後に、エンディングのところでお客さんに感謝の気持ちを形にしてください。とお題がでます。4年生の中には準備して、北村さんもびっくりするダンスがあったりしました。それをみた3年生も、負けずに組み立て体そうを真似たものや、自分たちで考えた「かっこいい、見た事のない」アイデアを出し合います。

しかしながら、いざ実演してみると、エンディング曲は時間に限りがあるので、もたもたしてると後のグループが間に合わなくなります。「むずかしいことをしようとせずに、簡単なことをきっちりしてもかっこいいんよ」とみんなにアドバイスをして練習が終わりました。

これで北村さんの授業は終わり。完成は運動会本番で発表されます。