大阪市立苅田北小学校×三原美奈子 (1日目)
2011/10/14 (3~6時間目)

 苅田北小学校の4年生2クラスを対象にした授業が始まりました。講師は、パッケージデザイナーの三原美奈子さんです。

 今回の授業のテーマは、お菓子や日用品の空き箱を使って「パッケージイグルー」を作るワークショップです。

  「パッケージイグルー」というのは、お菓子や日用品の空き箱のパッケージを活かして作られたイグルーのことです。三原さんによると、今回作る「イグルー」 のイメージは、雪や氷で作られたイヌイット達の暮らしの知恵から生み出された住居だそうです。イヌイット達の一時的な家として作られるイグルーは、雪や氷 で、その場で作ることができるとのこと。

 今回は、あえて、「パッケージイグルー」という名前は出さず、子どもたちから自由に箱を使って作りたいものを考えて、絵に描いてもらいました。そして、その絵をもとに、三原さんに設計図を提案してもらうという流れになりました。

 子どもたちから出されたアイデアは、様々でした。秘密基地、お城、木、恐竜、家、学校、トンネル・・・等など。

 さて、三原さんは、子どもたちのアイデアから、どんな設計図を思いついたのでしょうか?

 

*** 実際の授業の様子 ***


【実施1時間目】

※実際は、3・4時間目(4年1組)と、5・6時間目(4年2組)の授業の流れや子どもたちの反応に違いがありますが、ここでは、両方のクラスの様子をまとめて書いています。

 朝からどんよりと曇った空とは反対に、とても元気な子どもたちの挨拶で、授業が始まりました。

  まず、三原さんから自己紹介。

三原さんの「デザイナーって知ってる?」の問いかけにうなづく子どもたち。更に、「どんなことする人?」との問いかけに、「イメージする人」との答えが返ってきました。

アイスの箱を手に「こういう箱、どこで売ってる?」と問いかけると、子どもたちからは口ぐちに、「スーパー!」との答え。

 「そうだね。スーパーとかで、売られているよね。」と、箱を見せながら、デザイナーの仕事について説明する三原さん。

 そして、早速、箱を使って作るための、設計図の発表です。

「みんなの絵、とってもカラフルで、色んな絵があって楽しかったです。実際にできるかどうかも考えて、こんな設計図を選びました。」

 そう言って発表されたのは、1組「大きな顔の家」「星形の家」。2組は、「トンネルハウス」「お城の学校」です。自分の絵が選ばれた子は、嬉しそうにしています。

 

*** いよいよ作り始める! ***

 さて、ここからいよいよ作り始め。まずは、イグル―の基礎工事ともいえる箱の補強作業にとりかかります。

 「今から、箱の補強をします。補強というのは、強くすること。上に、たくさん箱を積み上げるので、一番下の箱を強くします。そのために、ダンボールを使います。」と、三原さん。

 子どもたちには、一人一枚のダンボールが配られました。補強の作業の手順は、このような感じです。

 1.箱の底面の大きさの型をとる。

 2.型より少し小さめに切る。(上下2枚)

 3.余ったダンボールを丸めて箱に入れる。

 4.ガムテープで開いている部分をとめる。

         補強完成!

 ダンボールをハサミで切るのが大変だったり、テープを切るのが大変だったりしましたが、そのおかげで、みんなで協力しながら取り組む様子が見られました。大変な作業ですが、子どもたちは、とても集中して取り組みます。

切りにくいけど、あきらめずに取り組みます。

一人でやるより、一緒にやるとやりやすいね!

作業の途中で、三原さんからパッケージにまつわる色んな話がありました。興味深かったのは、次のような話です。

 空き箱を手にした三原さん。子どもたちに尋ねます。「どっちが表だと思う?」子どもたちの「こっち!」の声に、「どうしてそう思う?」と質問すると、こんな答えが返ってきました。

「中に入っているものの絵が描いてあるから。」「その物の名前が大きく書いてあるから。」

「そうだね」と、三原さん。箱には、表と裏があって、表には、商品名や中身が描かれていることが多いことを確認。また、「裏にも大切なことが書いてあるから、見てみてね。」とも語られました。

 また、こんな話も。

コーンフレークの箱を手にした三原さん。あれ?表にも裏にも、商品名と中身が書かれています。

 「こんなふうに、どっちも表にできるものもあります。」でも、よ~く見ると、絵の向きが違います。こっちは縦向き、ひっくり返すと、横向きの絵が現れます。「どうしてかな?」

 少し難しかったのか、子どもたちは、じっと考えこんでしまいました。

  すると、三原さんは「みんな、さっき、スーパーで商品を売ってるって言ってたよね。例えば、会社の人が、“この商品を置いてくださいって”スーパーにお願 いしたとする。その時に、“ああ、うちの棚のサイズでは、この箱は置けません。”って言われてしまったら、困るよね。そんな時に、縦にしても、横にしても 置けるようにしておくと、お店に並べてもらいやすいよね。」

 この説明に、子どもたちは、納得の様子。いつも見ている商品の箱にも、色んな工夫がされていることを学びます。

ここまでで、最初の時間は終了です。

 【実施2時間目】

 さて、いよいよ組み立てです。前の時間に補強した箱を並べて、イグル―の形を作ります。前もって、三原さんがそれぞれのイグル―の形に、床に赤いテープを貼っておいてくれました。

2つのグループに分かれて、赤い線にそって箱を並べます。

隣の箱とぴったりくっつけること。箱の表が外側にくるようにすること。背面のラインをそろえること…なかなか大変な基礎工事。これも、一人ではできません。

 「おれ、テープ切るわ。」「ここ、おさえてて。」「もうちょっとそろえよう…。」声をかけあって、協力しあって進めます。男の子も女の子も、協力し合いながら、とてもいい雰囲気で作業は進みます。

 最初に作った箱は全部並べたけれど、まだまだ補強した箱が必要です。

 「よし、もっと作ろう!」と、いそいそと二度目の補強作業に励む子どもたち。もう、子どもたちも、やることがわかり、自分たちで動き出し、教室は、どんどん活気を帯びていきました。

 箱を集める子。ダンボールをまるめる子。補強をする子。テープを切る子。箱と箱をテープでくっつける子。大人が指示したわけではないのに、自然に分業がされていきます。色んな職人さんがいて、みんなで一つの家を作っている雰囲気。和気あいあいとして、みんなとっても楽しそう。

作業の合間には、三原さんから箱について、こんなお話がありました。

 「牛乳パックは、頑丈なので、補強しなくても大丈夫です。組み立て方は、こうします…。」そういって、牛乳パックの開いた部分を折りたたみ、直方体にする方法を説明。その鮮やかさと、出来上がった箱のきれいさに、「お~、すげ~!」と子どもたちから拍手が起こります。

早速、自分たちもやっていみたい!と、子どもたちのやる気がムクムク。三原さんの説明が終わるやいなや、牛乳パック探し始めます。さっきの話のように作ることができると、とても嬉しそうでした。

 さて、このイグル―の組み立て。単純な作業に見えますが、実は、色々、考えることがいっぱいです。

 例えば、箱を置くときは、どちらが表かを意識しないといけません。(この箱は、どっちが表かな?どの向きにおけばいいかな?)と考えながら組み立てます。

 また、組み立てていくと、小さなすきまができます。「窓にしてもいいし、そこに合う、小さな箱をみつけてもいいです。」と、三原さん。

 箱を、「持つ」「触れる」「選ぶ」「くっつける」という具体的な「作る作業」に加え、「箱の表がどちらか考える」「すきまをいかす」「ラインをそろえる」「入口・出口の形を工夫する」という「デザイン」も同時に行いながら、作っていく過程は、とても興味深いものでした。

 また、実際に手を動かしながら組み立てる過程、そして、箱に触れて重みや手触り、形のおもしろさを味わう過程でイメージやアイデアが生まれ、創作に結びついているように感じられました。

 先生も子どもたちもスタッフも入り乱れて、夢中になって取り組んでいると、あっという間に終了の時間が近づいてきました。

 最後に、三原さんから宿題です。

  「今日は、要量がわかって、夢中で作業しました。次は、グループで、考えて、工夫をしてみてください。例えば、顔を作るグループは、どうやったら顔に見え るかな?箱の組み方で顔に見えるようにするとか、目の部分は白い箱を集めるとか、グループで考えてみてほしい。他にも、窓の形をどうするか、壁の色をどう するか…グループで話し合って、今後の作戦を立ててみてください。」

 子どもたちは、次への期待をふくらませ、教室をあとにしました。


*** ふりかえり *** 

放課後、担任の先生二人と三原さん、スタッフで打ち合わせを行いました。

 先生たちからは、「みんな、やりたくてしかたない。」「こんなこと大好きだ。」という声や、「○○くんが、できたはしから先生を呼んで、喜んでいた。」と、普段とは違う子どもたちの姿を喜ぶ声が聞かれました。

 スタッフからは、「自然な役割分担が出来ていた。」「男女仲がよくて、ペアになって作業を進めていた。」との意見。

 三原さんからは、さらにかっこよくなるには…という視点で、子どもたちに是非考えてほしいことについての話や、オプションとしてどんな工夫ができるか(例:箱の中にクイズが入っている・カレーの箱が何個あるか、数えてもらうなど)という話をしていただきました。


 さて、次に行くときには、どんなふうになっているのでしょうか?

 トンネルハウスのトンネル部分のみ、少し作業しやすいように三原さんの手を加え、一日目は終了しました。

 20日(金)に2回目のワークショップ、そして、最終日(10月25日)は、保護者の方、そして違うクラスの友達に発表をする予定です。

 さて、どんなイグル―になることでしょう。完成が楽しみです。

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