【実施レポート】子どもアートワークショップ vol.5
セルフポートレート写真ワークショップ「未来の姿を写してみる」

とき:2013年8月31日13:00-17:00
ところ:大阪府立江之子島文化芸術創造センター(enoco) 地下1階 ルーム11

普段は会議室などに使われている場所が、撮影場所とミーティング場所にカーテンで仕切られていて、いつもと違う様子。撮影場所で撮られた写真はすぐに横のミーティングスペースの壁にプロジェクターで映しだされます。

参加者は5名で少なめ。小学校高学年から中学3年生までの女子ばかりという構成になりました。夏休みということもあり、地域の学校などに十分な宣伝ができなかったことは今後ワークショップを実施する上での課題の1つです。

さて、始まった松本美枝子さんのワークショップ。
まずは松本さんの自己紹介と作品紹介。谷川俊太郎氏との本や、これまでに様々なポートフォリオを撮影している松本さんの被写体は子どもたちにも馴染み深いタレントやアーティストがいて、写真家の仕事について子どもたちは学びます。

その後、参加する5名の子どもたちの簡単な自己紹介を終えて、今回のテーマである自分でポートフォリオを撮影することの説明。他の学校での作品写真をたくさん見せながら、子どもたちはイメージをふくらませていきます。

13:30ごろからまずは練習。撮影場所で、自分でポーズを決めてプロの機材を使いオートタイマーを使ってシャッターを押すという作業を初めて体験します。子どもたちだけでなくスタッフも入って試してみます。なかなか恥ずかしがり屋の子どもたちも大人がする大胆なポーズにツッコミを入れながら楽しく進みます。プロの機材を使う難しそうなイメージが意外にも簡単にできたことで、子どもたちも一気に気分が楽になったようでした。

 

その後、13:50分ごろから松本さんと子どもたちで話し合いが始まります。このワークショップのポイントは、この話し合いのプロセスを通じて、子どもたちに未来の姿のリアリティを持たせること。松本さんも子どもたちの気持ちを和ませるために、また松本さん自身が子どもたちの具体的な撮影イメージを共有するために、好きなことや今夢中になっていることなど子どもたちの様子を根掘り葉掘り聞き出します。

話し合いは30分続き、ようやく撮影がスタートします。
今の自分とは全く異なる未来の自分の姿の格好を持ってきたり、ほんの少しの未来を考えるこどもは現実の延長線として、今自分たちが大切にしているものを持ってきた入り、友達と服を交換したり、とそれぞれが考える未来は様々。そして撮影に参加した大人も「来週の自分」や「SF的未来の姿」などいろんなタイムラインを設定して、撮影に臨みます。
一人一人の撮影はすぐに済みますが、休憩を挟んで合計3テイクを撮影していきました。
撮影していく中で、未来の自分を考えれば考える程どんどん深みにハマって、どう撮ればいいのか分からなくなってくる子どももいて、当初はポージングだけを考えていた子どもも、この「未来の自分を撮る」ということの意味を理解しようとしながら、かなり悩んでいるようにも見受けられました。
一方、撮影に際して、ポートレートを撮影した結果を別のスペースでスピーディーかつ大きく見えるシステムは実はこのワークショップのとても良い部分で、スムーズな運営と、撮影のイマジネーションを高めていくのに高い効果があると感じました。

15:20分から撮影した写真をそれぞれ選定に入ります。
子どもたち自身がセレクションした作品に松本さんもその良いポイントを言語化して丁寧に説明してくれることで、子どもたちは安心していきます。これは最初の話し合いで松本さんと様々な情報を共有した結果であり、松本さんであるから成立しているこのワークショップの特徴であると言えるでしょう。

その後、それぞれの画像を出力し、子どもたちがタイトルを考えて、設置場所を決めていきます。このあたりのワークとしてはスムーズにすすんでいるものの、画像の出力に時間がかかった部分は課題でもあったかと思います。

全体として、今回子どもたちの参加が比較的少なかったのが残念でしたが、その分アーティストがそれぞれに向き合う時間が取れたと思います。そして小学生や中学生にとって「未来の自分を撮影する」という意味は非常に難しいテーマだったと思います。どんな時間を未来と受け取るのか、将来の仕事なのか、気持ちなのか、様々に考えられる「自身の未来」を抽象的に考え、それを実像に落としこむ作業は頭を悩ませるワークショップだったと思います。
しかし、それ故、普段子どもたちが体験できないワークであり、そういったプログラムをエノコで提供することの価値があると思います。学校教育では多くの場合が公平性を謳うことで比較的多くの子どもに馴染みやすいプログラムを提供することが求められます。しかし答の出にくい問いに必死で悩むこともまたアートの醍醐味であるとともに、そういったプログラムも提供していくべきであると考えます。

その後、子どもたちのセルフポートレート作品は2013年9月の1ヶ月間、1階エントランスにて展示されました。

(小島)

 

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