今年度 大阪市立大学社会包摂型アートマネージメント・プロフェッショナル事業[i]の1つとして、大阪市西区内の2つの小学校の協力を得て、子どもたちの参加型音楽ワークショップ『こども熱帯音楽祭』[ii]を実施します。
夏休み期間中に学校施設を利用し、6回のワークショップを実施し、8月31日に大阪府立江之子島文化芸術創造センターにてコンサートを行います。
実施校と担当アーティストは以下の通り。
- 大阪市立本田小学校
アーティスト:横沢道治
- 大阪市立明治小学校
アーティスト :pika☆
ワークショップを始める前に興味のある子どもを集めてデモンストレーションを行う上で、各学校に以下のポスターを貼ってもらいました。
[i]●大阪市立大学「社会包摂型アートマネージメント・プロフェッショナル育成事業」
大阪市立大学が平成26年度文化庁「大学を活用した文化芸術推進事業」に採択されて実施するものです。本プログラムの特徴である「社会包摂型アートマネジメント」というのは、大阪市立大学がこれまでも取り組んできた調査研究であり、各地で頻発している自然災害や近年のグローバル化による経済格差などによって生み出される現代社会のさまざまな課題と向き合い、アートを活用して解決や回復をはかるというものです。プログラムは講座(全10回)と5つのプロジェクト実践、そして全体を振り返るフォーラムから構成され、プロジェクト実践においては、教育、福祉、医療、まちづくりの現場で活動するNPOなどと連携して実施。座学(講座)とともに実践で学ぶ場を提供し、アートを通して公共性豊かな社会をつくっていく人材を育成していきます。今回、「こども熱帯音楽祭」が教育現場でのプロジェクト実践として位置づけられています。
[ii]●こども熱帯音楽祭
インドネシアで立ち上がったこの音楽祭は、2006年のジャワ島での震災で被害を受けたインドネシアの伝統音楽「ガムラン」の復興支援を目的に、日本在住のアジアの音楽・舞踊・文化関係者などの有志による「ガムランエイド」の活動がきっかけとなっています。震災直後から継続して行われた支援活動が、次第にインドネシアとの「恊働」へと変化していくなかで、2008年からジョハン・サリム氏(インドネシア芸術大学教授/音楽心理学博士)の提案により「こども創造音楽祭 / Creative Music Festival for children」としてスタートしました。
インドネシアの ジョグジャカルタでは、被災の大きかったエリアの小学校を対象にして、音楽を学ぶ学生によるワークショップが行われ、年に一度の音楽祭が開催されています。このワークショップでは、インドネシアの伝統芸能や音楽を見直すと同時に、楽器がない環境でも身の回りの素材で音を奏で、音楽を創造していくこと、そのなかで、次世代の子どもたちが、様々な課題を創造的に解決し、豊かな未来を切り開いてゆくための創造力を育むことを目的としています。
日本では「こども熱帯音楽祭」として、2012年に3名の音楽家と1名の舞踊家が、それぞれ大阪市内の小学校などでワークショップを行い、それぞれの作品を合同で発表するコンサートを実施しました。また、2013年には「KOBEデザインの日記念イベント」として神戸市内小学校4年生の有志22名と音楽家が非楽器の日用品を使っての音楽に挑戦し、放課後に合計3回のワークショップを実施し、神戸市内のギャラリーで発表を行いました。
今回、実施するプロジェクトでは、即興音楽をベースに活動する音楽家を講師に迎え、2つの小学校(大阪市立本田小学校、大阪市立明治小学校)を対象として夏休み期間中にワークショップを実施し、その成果を8月31日に江之子島文化芸術創造センターにて発表します。
子どもたちとアーティストの関係性を深めていきながら、子どもたちの「音楽」だけでなく「遊び」や「動き」などの様々なアイデアを引き出すことを最重要ポイントとして、アーティストがその交通整理のような役割を持ちながらパフォーミングアート作品として昇華させていくような内容を考えています。